盆暮れ勘定——「ツケ」で回した江戸の信用経済

その場で支払う現金取引が当たり前の現代でも、企業間取引の多くは「掛け(後払い)」で動いている。この後払いの商習慣を、江戸の商人は「掛け売り」と「盆暮れ勘定」という形で高度に発達させていた。現金を介さずに信用で回す経済の知恵を訪ねる。

その都度払わない、という商い

江戸の商いの多くは、現金即金ではなく「掛け売り」で行われた。客は商品を受け取るとき、その場で代金を払わない。店は代金を帳簿(大福帳)に記し、後日まとめて回収する。とりわけ呉服など高額の商いでは、この掛け売りが一般的だった。日々の小さな買い物も、馴染みの客であれば「ツケ」で買い、後でまとめて精算した。

この後払いを支えたのが、信用である。店は客を信用して商品を先に渡し、客は店を信用して後で払う。現金がその場でやり取りされなくても、互いの信用が取引を成立させる。江戸の経済は、現金だけでなく、こうした信用の網の目によって回っていたのである。


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