人別帳と宗門改——個人を「記録」して把握した江戸の台帳

AIによる与信は、個人のデータを集め、記録し、分析することで成り立つ。その前提にあるのは「個人を把握する台帳」の存在だ。誰がどこに住み、どんな素性で、誰と結びついているか——これを記録するシステムは、江戸時代の日本にすでに精緻な形で存在した。宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)である。戸籍とデータベースの遠い祖先を訪ねる。

宗門改から人別帳へ

江戸時代初期、幕府はキリスト教を禁じ、すべての人がどこかの寺院に属する「檀家」であることを証明させた。これが宗門改(しゅうもんあらため)である。各人がキリシタンでないことを寺が請け合い、その記録を帳簿にまとめた。信仰の管理から始まったこの制度は、やがて住民台帳としての性格を強めていく。

これに、人別改(にんべつあらため)——人口や家族構成を把握する調査——が結びつき、宗門人別改帳が生まれた。そこには家ごとに、家族の名前、年齢、続柄、宗旨、檀那寺などが記された。村や町を単位に、ほぼ全住民が一冊の帳簿に記録される。信仰の証明と人口の把握、二つの機能を兼ねた、江戸日本の基礎台帳だったのである。


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