頼母子の落札設計——「誰が先に受け取るか」を決めた江戸の知恵
複数の人が金を出し合い、順番にまとまった額を受け取る。だが「誰が先に受け取るか」をどう決めるのか——ここに、頼母子講(たのもしこう)の精緻な金融設計があった。くじ引き、入札、話し合い。受け取り順を決める仕組みの違いは、そのまま利率と公平性の設計だった。群れで支え合う金融の、その中核にある「分配ルール」を訪ねる。
頼母子講という相互金融
頼母子講は、無尽(むじん)とも呼ばれる江戸時代の相互金融である。一定の人数が集まって講を結び、定期的に決まった額を出し合う。集まった金(講金)は、毎回一人が受け取る。これを全員が一度ずつ受け取るまで続け、満期となれば講は解散する。誰もが出し手であり、いずれは受け手になる——互いに資金を融通し合う、共同体の金融装置だった。
仕組みの妙は、その双方向性にある。早く受け取った者は、実質的に他のメンバーから借金をしたことになり、以後の掛け金で返済していく。遅く受け取る者は、他のメンバーに資金を貸していたことになり、満期には掛けた以上を受け取る。つまり同じ講の中に、借り手と貸し手が同居していたのである。
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