空と歩道を走る配達人——配送ロボットと江戸の棒手振り

はじめに——「最後の一マイル」を誰が運ぶのか

ネット注文した商品が、トラックではなくドローンで空から届く。あるいは、歩道をゆっくり走る六輪のロボットが、玄関先まで荷物を運んでくる——。物流の世界で長年「最難関」とされてきた「ラストワンマイル(最後の一マイル)」、すなわち配送拠点から各家庭の玄関までの区間が、いま自動化されようとしている。

世界の自動配送ロボット市場は2026年に34.2億ドル、2030年には116.3億ドル(CAGR35.8%)に達すると予測される。ドローン配送市場も2026年の14.7億ドルから2031年には67.4億ドルへ拡大する見込みだ。Amazon、Walmart、そして中国勢が、空と歩道の両方で激しく競い合っている。

だが、この光景は本当に「新しい」ものだろうか。かつて江戸の街には、天秤棒を担いで魚や豆腐や金魚を売り歩き、人々の暮らしを足元から支えた「棒手振り(ぼてふり)」がいた。店を構えず、街を巡り、生活必需品を玄関先まで届ける——その姿は、現代の配送ロボットと驚くほど似ている。本稿では、ラストワンマイル自動化の最前線を確認したうえで、棒手振りという江戸の都市インフラを補助線に、「街を巡る配達人」の現在と未来を考える。

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