身にまとう力——外骨格(パワードスーツ)と甲冑・装束の系譜
はじめに——「着ることで強くなる」という発想
腰に装着すれば重い荷物が軽々と持ち上がる。脚に取り付ければ衰えた筋力が補われ、再び歩けるようになる——。SF映画の中の装備だった「外骨格(パワードスーツ)」が、いま建設現場や工場、介護施設で現実に使われ始めている。
世界のウェアラブル外骨格市場は、2026年の35.2億ドルから2034年には642.3億ドル(CAGR43.7%)へと爆発的に成長すると予測される。この成長を牽引するのが、世界に先駆けて少子高齢化と労働力不足に直面する日本だ。大林組は建設現場で1万台以上の外骨格を使用し、トヨタは工場に1,500台以上を導入している。
人間が「何かを身にまとうことで能力を拡張する」という発想は、しかし全く新しいものではない。日本には、身体を守りながら戦闘力を高める「甲冑」、身分や役割を身体にまとわせる「装束」という、千年以上にわたって洗練されてきた「着る装置」の文化がある。本稿では、外骨格の最前線を確認したうえで、甲冑と装束という日本の身体文化を補助線に、「身にまとう力」が向かう先を考える。
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