見て学び、型を超える——模倣学習ロボットと守破離・口伝の系譜
はじめに——「教える」とは何か
ロボットに新しい動作を覚えさせる——かつてそれは、エンジニアが一行ずつプログラムを書き、関節の角度や速度を数値で指定する作業だった。しかしいま、その光景は一変しつつある。人間が手本を見せ、ロボットがそれを「見て」真似る。あるいは、言葉で指示するだけで、ロボットが過去の経験から推論して動く。**模倣学習(imitation learning)**と呼ばれるこの手法が、ロボットを「プログラムされる機械」から「学ぶ存在」へと変えようとしている。
2026年4月、米国のPhysical Intelligenceは新モデル「π0.7」を発表し、エアフライヤーでの調理のような未学習のタスクを、言語指示のみで実行できる汎化性能を実証した。同社は評価額110億ドルでの資金調達協議に入ったと報じられている。模倣によって学ぶロボットは、いまや巨額の投資を呼び込む最前線の技術領域となった。
この「見て学び、やがて型を超える」という学習のあり方は、日本の芸道・武道が数百年にわたって洗練させてきた思想と驚くほど重なる。「守破離(しゅはり)」と「口伝・秘伝」である。本稿では、模倣学習の最前線を確認したうえで、この二つの思想を補助線に、「学ぶ」「教える」という営みの本質を問い直したい。
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