家事をするロボット——掃除・調理・片付けと作務・始末の思想
はじめに——「雑用」を誰がやるのか
掃除、洗濯、料理、片付け——。これらの家事は、長らく「誰かがやらなければならないが、できれば避けたい雑用」と見なされてきた。いま、その雑用をロボットが肩代わりしようとしている。
汎用ヒューマノイドが家庭で洗濯物をたたみ、調理ロボットが熟練職人のレシピを再現し、ロボット掃除機が自動でゴミを収集する。世界の家庭用サービスロボット市場は2025年の146.2億ドルから2026年には169.0億ドルへ成長し、2031年には349.3億ドル(CAGR15.62%)に達すると予測される。日本市場も2020年の49.5億円(4.3万台)から2026年には150億円(13.7万台)、2030年には340億円(33.8万台)へと拡大が見込まれている。
だが、ここで立ち止まって考えたい。日本には、その「避けたい雑用」を修行の核心に据えた思想がある。禅の「作務(さむ)」と、上方商人の「始末」である。本稿では、家事ロボットの最前線を確認したうえで、この二つの思想を補助線に、「家事をする」という営みの意味を問い直す。
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