本草学と小石川植物園——薇薬を分類した江戸のサイエンス
はじめに——薬は、観察から生まれる
新薬開発の主流は今や 計算機の中 にある。Insilico Medicine、Schrödinger、AlphaFold——分子構造シミュレーションと AI が、湿実験を待たずに候補化合物を絞り込む時代だ。日本の AI 創薬市場規模は2024年100億円、2030年には500億円超えが見込まれている。
しかしその「データ駆動」の足元には、膨大な観察と分類の歴史 がある。日本でその基礎を築いたのが、江戸時代の薬草園と本草学だった。1684年に開設された小石川御薬園、1721年に徳川吉宗が大拡張し、114種以上の薬草を栽培した。AI 創薬の対極にある「地道な観察と栽培」の伝統——それが、いま新しい形で再評価されている。
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