養生訓の世界観——貝原益軒の予防医学
はじめに——病気になってからでは、遅い
現代医療は「病気になったら治す」ことに莫大な資源を投じてきた。しかし、医療費の高騰、高齢化、生活習慣病の蔓延を前に、その思想は限界を見せている。Apple Watch、Oura Ring、Fitbit——ウェアラブルデバイスが目指すのは、病気になる前に異常を検知する ことだ。
この発想を、日本は 300年以上前 に体系化していた。1713年、福岡藩の儒学者・貝原益軒(1630-1714)が、83歳で著した『養生訓』である。彼自身が 85歳まで長寿を全うした という、自身を被験者とした「ライフログ研究」の結晶だった。
本稿では、『養生訓』が示した予防医学の思想を辿り、それが AI 創薬・パーソナライズド・ヘルスケアの時代にどう響き合うかを考える。
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