「服を捨てるな」とEUが言った——サーキュラーファッションと、布を使い尽くした江戸の手仕事

はじめに——「捨てる」が許されなくなる日

もし海外のサステナビリティ投資家に「日本には、廃棄物ゼロの経済を実現した時代はあったのか?」と聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか。 2026年、サーキュラーエコノミー(循環経済)市場は$5781億に達し、2030年には$8882億、さらに2035年には$1兆を超えると予測されている。リセール(中古品再販)市場は$3930億規模に成長し、ThredUp(ThredUp Inc.)のResale-as-a-Service(RaaS)プラットフォームは37%の採用増を記録した。46%の消費者が「新品を買う前にリセールを見る」と回答し、Vestiaire Collective、The RealReal、メルカリといったプラットフォームが「所有から利用へ」の転換を加速している。Product-as-a-Service(PaaS)モデルも拡大し、EUの共同研究センター(JRC)は2025年12月にサブスクリプション型消費が循環経済を促進するとの報告書を発表した。 この潮流の核心は、「直線型経済(採取→製造→使用→廃棄)」から「循環型経済(設計→使用→修復→再利用→再製造)」への構造転換にある。しかし、この循環型経済を、テクノロジーなしに100万人都市規模で実現していた時代が、日本にある。江戸時代(1603-1868)の江戸——人口100万人を超える世界最大級の都市でありながら、ほぼすべての物質が循環するシステムを構築していた「サーキュラー・エドノミー」である。本稿では、サーキュラーエコノミーの現在地を確認したうえで、江戸の循環システムを補助線に、「捨てない経済」の本質を考える。

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